弊社はHPで掲げている「じぶんクラウドで新しい経済圏を創る」にもあるとおり、お客様が自分たちの生業をクラウド上に広げる手助けをするための事業を行っています。
その中で、主にSaaS事業を成功させる上で重要なメトリクスですが、この4年前の記事ですが重要なメトリクスを提示していて、バイブル的記事になっています。
SaaS Metrics 2.0 – A Guide to Measuring and Improving what Matters
この記事の内容を何回かに分けて掘り下げていこうと思います。
(今回の範囲)
- イントロダクション
- SaaSの何がそんなに違うのですか?
- SaaS P&L /キャッシュフロートラフ
(次回以降)
- 強力なツール:ユニット経済学
- あなたのSaaSビジネスは実行可能ですか?
- SaaSガイドラインの3つの用途
- ユニットエコノミクスの実際:HubSpotの例
- 2種類のSaaSビジネス:
- SaaS予約:3つの貢献要素
- 顧客維持の重要性(チャーン)
- ネガティブチャーンの力
- SaaS企業のダッシュボードの定義
- 使用されるさまざまなメトリックの詳細な定義
- 前払い
- CACとLTVの計算
- チャーンの詳細:コホート分析
- 解約の予測:顧客エンゲージメントスコア
- NPS –ネットプロモータースコア
- チャーンのガイドライン
- 顧客セグメンテーションの重要性
- 目標到達プロセスの指標
- 将来の計画における目標到達プロセスの指標の使用
- 販売能力
- さまざまなリードソースのROIを理解する
- 成長を促進するために利用できるレバー
- 事前に計画する
- 全体像:SaaSビジネスを運営する方法
(なお、翻訳については DeepL を利用していますので、悪しからず)
イントロダクション
"If you cannot measure it, you cannot improve it" - Lord Kelvin
"測定できなければ、改善することもできない。" - Lord Kelvin
最初のメッセージです。バイアスを取り除き、客観的に評価するにはなんらかの指標で測定することは重要です。
SaaS/サブスクリプション・ビジネスは、従来のビジネスよりも複雑です。従来のビジネス指標では、SaaSのパフォーマンスを左右する重要な要素をまったく捉えることができません。SaaSの世界では、将来の業績に大きな違いをもたらす重要な変数がいくつかあります。この記事は、SaaSの経営者がどの変数が本当に重要なのか、そしてそれらをどのように測定し、結果に基づいて行動するかを理解することを目的としています。
SaaSビジネスは初期投資が大きく、回収期間は長期に渡るため、現在地ではなく将来の業績を見通せる指標が必要になります。
この記事の目的は、以下の質問に答えられるようにすることです。
- 私のビジネスは財務的に成り立っているのか?
- 何がうまくいっていて、何を改善する必要があるのか?
- 経営陣はビジネスを推進するために、どのようなレバーに注力すべきか?
- CEOはアクセルを踏むべきか、それともブレーキを踏むべきか?
- アクセルを踏んだ場合、キャッシュや損益への影響はどうなるか?
(注:ここでは特にSaaSに焦点を当てていますが、この記事はあらゆるサブスクリプション・ビジネスに適用できます)
期待して読んでいきましょう。
SaaSは何が違うのですか?
SaaSやその他の継続収入型ビジネスが異なるのは、サービスの収益が長期間(顧客の生涯)にわたって得られることです。
先述した、 SaaSビジネスは初期投資が大きく、回収期間は長期に渡る
ということですね。
顧客がサービスに満足していれば、長期間にわたってサービスを利用していただけるので、その顧客から得られる利益はかなり大きくなります。
一人の顧客から長期間にわたってサービスを提供し利益を得ることが重要みたいですね。LTV(Lifetime Value)のことでしょうか。
一方、顧客が不幸であれば、すぐに解約されてしまい、その顧客を獲得するために行った投資が無駄になってしまう可能性があります。
顧客獲得のための投資に多額の資金を投入しても、解約率が高ければ、コストは非常に高くつくことになりますね。ただし、LTVとも掛け合わせてみる必要があるため、ユーザー一人当たりの獲得コストをどう評価するのか難しそうですし、一時的にみると大きなキャッシュアウトになりうると思います。
このように、従来のソフトウェアビジネスとは根本的に異なるダイナミズムを持っています。つまり、達成しなければならない売上が2つあるのです。
- 顧客の獲得
- 顧客の維持(ライフタイムバリューの最大化)
顧客獲得にかかるコスト、維持のためのコスト、件数増加とともに売り上げとコストがどのように変化していき、将来をどのように予測し事業を評価するのか興味深いところです。
顧客維持の重要性から、今後は維持率と解約率を把握するための指標に注目が集まります。しかしその前に、SaaSビジネスが財務的に成り立つかどうかを理解するための指標を見てみましょう
SaaSで成功するための3つの鍵
1) 顧客の獲得
2) 顧客の維持
3) 顧客の収益化
ということで、ここまでが前置きのようでした。
SaaSの損益・キャッシュフローの谷
SaaSビジネスでは、初期に大きな損失が発生し、それに伴ってキャッシュフローの問題が発生することがよくあります。これは、顧客を獲得するために多額の先行投資を行い、その投資から得られる利益を長期間かけて回収する必要があるためです。ビジネスの成長が早ければ早いほど、損失はひどくなります。多くの投資家や役員はこのことを理解できず、アクセルを踏むべき瞬間にブレーキを踏みたがるのです。
初期投資が大きく、回収が長期にわたるため、成長段階であってもキャッシュフローは悪化するため、将来を正しく評価できないと、投資を見誤り事業を伸ばせなくなります。
測定できなければ、改善することもできない。
測定できないと、投資も難しいですね!
この問題を説明するために、簡単なエクセルのモデルを作ってみました(こちら)。 このモデルでは、顧客を獲得するために6,000ドルを費やし、毎月500ドルの割合で請求しています。このモデルから、以下の2つのグラフを見てください。
小さな具体例を示しているので見ていきましょう。
1顧客あたりのキャッシュフロー
1顧客あたりのキャッシュフロー予測
1人の顧客のためにキャッシュフローの谷を経験したとして、その後、本当にうまくいき始め、同時に多くの顧客を獲得した場合はどうなるでしょうか?このモデルでは、予約の成長率を上げると、損益/キャッシュフローの谷が深くなることを示しています。
顧客を獲得するために6,000ドルを費やし、毎月500ドルの割合で請求した場合でもキャッシュフローがプラスになるまで13ヶ月を費やします。さらに多くの顧客を獲得しようとすると6,000*獲得ユーザー数となり、キャッシュアウトが著しく増加することになりますね。。。
成長率の向上がP&L/キャッシュフローに与える影響
しかし、トンネルの終わりには光があります。最終的には、新規顧客のために必要な投資をカバーできるだけの利益/キャッシュがインストールベースから得られるからです。その時点で事業は黒字化し、キャッシュフローもプラスになります(営業やマーケティングへの支出を増やさない場合)。そして、予想通り、顧客獲得の成長が早ければ早いほど、カーブがプラスになった時の見栄えが良くなります。
一時的なキャッシュフローの悪化も見誤らなければ、顧客獲得コストが多ければ多いほど、将来的にキャッシュフローが早期に改善されることがわかります。
しかし、そううまくはいかないようです。
成功のインパクト: 累積キャッシュフロー
キャッシュフローが改善され、事業への投資を増やす機会が訪れたのにも関わらず、顧客獲得のペースをあげると再びキャッシュフローが悪化することになります。
収益の伸びを加速させている限り、この現象を管理し、メッセージを発信することは、SaaS企業にとって永遠の課題です。
この現象を管理し、投資家や会社に対して説明と理解をしてもらう必要があります。
なぜ成長が重要なのでしょうか?
私たちは、ビジネスが成功する可能性を示した時点で、成長率を高めるために積極的な投資をすべきだと提案してきました。あなたは疑問に思うかもしれません。なぜですか?SaaSは通常、「勝者が勝者を呼ぶ」ゲームなので、できるだけ早く市場シェアを獲得し、その分野での勝者となることが重要です。ウォール街、買収企業、ベンチャー投資家は、成長率が高いほど高い評価を与えてくれます。また、特定の分野のマーケットリーダーにはプレミアムがつきます。
「勝者が勝者を呼ぶ」
マーケットリーダーにはプレミアム
など、疑いの余地はないのかもしれません。
弊社のVision
しかし、弊社はVisionとして、GAFAに代表されるような巨大プラットフォーマーに依存しない、独自の経済圏を創造する
というVisionを掲げています。
世界経済の不均衡を解消し、調和の取れた社会を作っていきたいです。
今回はここまで
SaaSモデルはサービスを立ち上げるまでの初期投資が大きいと同時に、改修期間が長期にわたるモデルであり、さらに、収益性の改善に向けて顧客獲得コストの著しい増加と長期の改修期間を必要とするサイクルが繰り返されることがわかりました。
ここまでの締めくくりにこう書かれています。
しかし、すべての投資が理にかなっているわけではありません。次のセクションでは、成長への取り組み/投資が確実に回収できるようにするためのツールを見てみましょう。 Unit Economicsです。
まだまだ序章です。ARRと言う言葉すら出てきていません。
と言うことで次回は、以下の4つについて取り上げたいと思います。
- 強力なツール:ユニット経済学
- あなたのSaaSビジネスは実行可能ですか?
- SaaSガイドラインの3つの用途
- ユニットエコノミクスの実際:HubSpotの例
それではまた!